「人工出し(常用)」は労働局と税務署の標的です
「今日は人が足りないから、一人応援(人工)を呼んでくれ」「1人工2万円で、月末にまとめて請求書を上げて」
大阪市旭区の建設現場でも、このような「常用(人工出し)」と呼ばれる応援の呼び方は日常茶飯事です。しかし、2026年現在、この古き良き商慣習が「偽装請負(ぎそううけおい)」として、労働局や税務署から厳しく摘発されるケースがあります。
特に、インボイス制度が定着した今、曖昧な契約のまま「外注費」として処理していると、税務調査で数百万単位の追徴課税を受けるリスクがあります。この記事では、大阪の建設業者が知っておくべき「常用」の危険性と、正しい「請負契約」で会社を守る方法を解説します。
1. そもそも「偽装請負」とは何か?なぜ建設業でヤバいのか
偽装請負とは、「契約の形は『請負(外注)』なのに、実態は『労働者派遣(または直接雇用)』になっている状態」のことです。
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請負(適法):仕事の「完成」に対してお金を払う。どうやって作業するかは、請け負った職人の自由(指揮命令権は職人にある)。
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労働者派遣:人を借りてきて、発注者が直接「あれをやれ、これをやれ」と指示を出す(指揮命令権は発注者にある)。
【建設業なルール】労働者派遣法により、建設現場での労働者派遣は「原則禁止」されています。 つまり、建設現場で「偽装請負(実態が派遣)」と認定された場合、労働者派遣法違反、職業安定法違反(労働者供給事業の禁止)となり、「1年以下の懲役または100万円以下の罰金」という重い刑事罰の対象になります。当然、建設業許可の取り消しや営業停止処分の引き金にもなります。
2. 「常用(人工出し)」が偽装請負になりやすい理由
現場監督が応援の職人に対して、以下のような扱いをしていませんか?
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「朝8時に来て、この壁を塗って。材料はそこにあるから」と直接作業の手順を指示している。
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仕事が早く終わっても帰らせず、別の雑用をやらせている。
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出勤簿やタイムカードで労働時間を管理し、時給や日給で計算して支払っている。
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ミスがあった場合、やり直しの時間も「人工」としてお金を払っている。
これらは全て「雇用」や「派遣」の特徴であり、請負とはみなされません。
3. インボイス制度で発覚する「税務上のダブルパンチ」
労働局の指導だけでも恐ろしいですが、さらに怖いのが「税務署(旭税務署など)」の調査です。 インボイス制度下では、外注先からの請求書(インボイス)を厳格に保存する必要があります。
もしも、税務調査で「この支払いは請負(外注費)ではなく、実態は給与(雇用)だ」と否認された場合、どうなるでしょうか?
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消費税の追徴:外注費として差し引いていた消費税が否認され、過去に遡って追徴されます。
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源泉所得税の徴収漏れ:給与なら引いておくべきだった源泉税を、会社が立て替えて払うハメになります。
「相手がインボイス登録業者だから外注費で大丈夫」と思い込むのは危険です。インボイスがあっても、実態が「常用(給与的)」であれば否認されます。
4. リスク管理:契約書と実態を「請負」に合わせる
偽装請負と言われないためには、契約書を整えるだけでなく、現場の「実態」も請負にしなければなりません。
① 正しい「工事請負契約書(または注文書)」を交わす 「1人工いくら」ではなく、「〇〇工事一式でいくら」という契約にします。どうしても単価契約になる場合でも、「〇〇平米あたり〇〇円」といった出来高払いの形にするのが安全です。
② 指揮命令を行わない(独立性を保つ) 現場での指示は、あくまで「契約した仕様通りになっているかの確認(注文者の指図)」にとどめ、具体的な作業手順や休憩時間は職人本人に任せます。
③ 道具や材料は職人持ちが原則 請負であれば、作業に必要な機材は職人自身が用意するのが基本です(やむを得ず貸与する場合は、有償でのリース契約などを結ぶのが望ましいです)。
5. まとめ:契約書の整備は当事務所へお任せを
「昔からの付き合いの職人に、今さら細かい契約書なんて出しにくい…」 そのお気持ちは分かりますが、行政の目は年々厳しくなっています。「知らなかった」では会社を守れません。
旭区・森小路の暁行政書士事務所では、建設業法や関連法規に則った、「偽装請負とみなされないための適正な請負契約書・注文書」の作成をサポートします。また、必要に応じて建設業に詳しい信頼できる税理士や社労士と連携し、税務調査に耐えうる体制づくりをアドバイスいたします。
「うちの人工出し、大丈夫かな?」と不安に思ったら、まずは無料診断をご利用ください。
この記事によくあるQ&A(よくある質問)

Q1. 「1日いくら」で応援に来てもらうのは、絶対に違法ですか?

A. 「1日いくら(日給・人工)」という計算方法だけで直ちに違法(偽装請負)になるわけではありませんが、税務署や労働局から「実態は雇用ではないか」と疑われる大きな要因になります。違法とされないためには、契約書で「完成責任」を明確にし、現場での細かい指揮命令を避けるなどの実態作りが不可欠です。

Q2. 偽装請負で摘発された場合、建設業許可はどうなりますか?

A. 労働者派遣法や職業安定法に違反して罰金刑以上の刑罰を受けた場合、建設業法上の「欠格要件」に該当することになり、建設業許可が取り消されます。

Q3. 一人親方と交わす契約書のひな型はネットのもので大丈夫ですか?

A. ネット上の無料ひな型は一般的な内容にとどまっており、あなたの会社の実際の取引状況(材料の支給有無、支払い条件、瑕疵担保責任など)を反映していないため、いざという時のリスクヘッジには不十分なケースが多いです。当事務所では、実態に即したオーダーメイドの契約書作成を行っています。



