建設業

土木一式工事(土木工事業)|建設業許可29業種

土木一式工事(土木工事業)イメージ

建設業29業種は大きくわけると、2種類の一式工事と、27種類の専門工事という2つにわかれます。
建設工事とは、建設業法第二条によると、「土木建築に関する工事」とされています。
大阪府によると一式工事とは以下のように説明されています。

一式工事は、他の27の専門工事と異なり、総合的な企画、指導及び調整のもとに土木工作物又は建築物を建設する工事で、原則として元請の立場で総合的なマネージメント(注文主、下請人、監督官庁、工事現場近隣等との調整や工事の進行管理等)を必要とし、かつ工事の規模、複雑性からみて総合的な企画、指導及び調整を必要とし、個別の専門的な工事として施工することが困難であると認められる工事

「建設業許可申請の手引き」より抜粋(閲覧日:2019/7/22)

そして、土木に関する一式工事として「土木一式工事」、建築に関する一式工事として「建築一式工事」があります。
ちなみに、各業種の工事内容は、はっきりと分かれているとは限りません。
重複する場合もあります。
どの業種の許可を取得するかは、主に受注している工事の内容や事業計画に合わせてご検討下さい。
今回は、2種類の一式工事の1つ「土木一式工事(土木工事業)」をご紹介致します。
建設業許可取得についての詳細は「建設業許可5つの要件と知っておきたい4つの基礎知識」をご覧ください。

内容と考え方

一式工事というと「色々な工事(専門工事)をまとめて行う」と思われがちですが、必ずしも2つ以上の専門工事を行う必要はありません。
工事の規模や、複雑性等によって個別の専門工事で対応するのが難しい場合も含まれます。
逆に「全ての工事を施工することができる」と思われがちですが、許可が必要な専門工事のみを施工するには、規模や複雑性等によって個別の専門工事で対応するのが難しい場合を除いて、対応する専門工事の許可が必要です。

土木一式工事の内容

総合的な企画、指導、調整のもとに土木工作物を建設する工事(補修、改造又は解体する工事を含む。)

土木一式工事の区分の考え方

「建設業許可事務ガイドライン」によると以下のような考え方となっています。

① 「プレストレストコンクリート工事」のうち橋梁等の土木工作物を総合的に建設するプレストレストコンクリート構造物工事は『土木一式工事』に該当する。
② 上下水道に関する施設の建設工事における『土木一式工事』、『管工事』及び『水道施設工事』間の区分の考え方は、公道下等の下水道の配管工事及び下水処理場自体の敷地造成工事が『土木一式工事』であり、家屋その他の施設の敷地内の配管工事及び上水道等の配水小管を設置する工事が『管工事』であり、上水道等の取水、浄水、配水等の施設及び下水処理場内の処理設備を築造、設置する工事が『水道施設工事』である。なお、農業用水道、かんがい用排水施設等の建設工事は『水道施設工事』ではなく『土木一式工事』に該当する。

国土交通省「建設業許可事務ガイドライン(・令和元年5月7日から適用)」より抜粋(閲覧日:2019/7/22)
詳しくは、以下のURLへアクセス後、「令和元年5月7日から適用」をご確認ください。
https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/sosei_const_tk1_000002.html
このガイドラインについては、法的な拘束力等はありません。
この内容に合致していないと、土木一式工事について「絶対に許可が受けられない」という事はありませんが、行政側の判断基準として発表されているものですので、大切なガイドラインとなります。

専任技術者の要件

専任技術者の要件は、一般建設業許可と特定建設業許可で異なります。
それぞれについてご紹介致します。

一般建設業許可

10年の実務経験が必要です。
ただし、特定の学科を修めた者の場合は必要な実務経験が短縮されます。
また、資格を取得することで専任技術者として認められる要件もあります。

経験年数の短縮

「土木工学(農業土木、鉱山土木、森林土木、砂防、治山、緑地又は造園に関する学科を含む。)、都市工学、衛生工学又は交通工学に関する学科」を修めた者は以下の実務経験年数に短縮されます。

  • 高等学校、中等教育学校等を卒業した後5年以上
  • 大学(短期大学を含みます。)を卒業した後3年以上
  • 高等専門学校等を卒業した後3年以上

認められる資格

土木一式工事の場合、以下の資格を取得していれば、実務経験は不問となります。
【建設業法(技術検定)】

  • 1級建設機械施工技士
  • 1級建設機械施工技士(附則第4条該当)
  • 2級建設機械施工技士(第1~6種)
  • 2級建設機械施工技士(第1~6種)(附則第4条該当)
  • 1級土木施工管理技士
  • 1級土木施工管理技士(附則第4条該当)
  • 2級土木施工管理技士(土木)
  • 2級土木施工管理技士(土木)(附則第4条該当)

【技術士法】

  • 建設・総合技術監理(建設)
  • 建設・総合技術監理(建設)(附則第4条該当)
  • 建設「鋼構造及びコンクリート」・総合技術監理(建設「鋼構造物及びコンクリート」)
  • 建設「鋼構造及びコンクリート」・総合技術監理(建設「鋼構造物及びコンクリート」)(附則第4条該当)
  • 農業「農業土木」・総合技術監理(農業「農業土木」)
  • 農業「農業土木」・総合技術監理(農業「農業土木」)(附則第4条該当)
  • 水産「水産土木」・総合技術監理(水産「水産土木」)
  • 水産「水産土木」・総合技術監理(水産「水産土木」)(附則第4条該当)
  • 森林「森林土木」・総合技術監理(森林「森林土木」)
  • 森林「森林土木」・総合技術監理(森林「森林土木」)

特定建設業許可

土木一式工事は特定建設業指定7業種に該当しますので、実務経験によって要件を満たすことはできません。
資格取得者、または、国土交通大臣が資格取得者と同等以上の能力を有する者と認定したものに限られます。

認められる資格

【建設業法(技術検定)】

  • 1級建設機械施工技士
  • 1級建設機械施工技士(附則第4条該当)
  • 1級土木施工管理技士
  • 1級土木施工管理技士(附則第4条該当)

【技術士法】

  • 建設・総合技術監理(建設)
  • 建設・総合技術監理(建設)(附則第4条該当)
  • 建設「鋼構造及びコンクリート」・総合技術監理(建設「鋼構造物及びコンクリート」)
  • 建設「鋼構造及びコンクリート」・総合技術監理(建設「鋼構造物及びコンクリート」)(附則第4条該当)
  • 農業「農業土木」・総合技術監理(農業「農業土木」)
  • 農業「農業土木」・総合技術監理(農業「農業土木」)(附則第4条該当)
  • 水産「水産土木」・総合技術監理(水産「水産土木」)
  • 水産「水産土木」・総合技術監理(水産「水産土木」)(附則第4条該当)
  • 森林「森林土木」・総合技術監理(森林「森林土木」)
  • 森林「森林土木」・総合技術監理(森林「森林土木」)

法人の場合の会社定款の記載

法人が建設業許可を受けるには、会社定款や商業登記の目的欄に土木工事業に関係する記載が必要になります。
大阪府知事許可を例に記載範囲の目安を記載します。

  • 建設業・土木建築工事
  • 土木工事

詳しくは、許可を受けようとしている都道府県または整備局等にお問合せ下さい。

まとめ

土木一式工事(土木工事業)は、総合的な企画、指導、調整のもとに土木工作物を建設する工事(補修、改造又は解体する工事を含む。)です。
土木工事は、橋を造ったり、道路を造ったり、宅地を造成したりと、公共の工作物を建設する重要な役割を担っています。
私達の暮らしに欠かす事のできない業種です。
また、建設業許可という観点でみますと、特定建設業指定7業種に該当しています。
特定建設業許可を受けるには、国家資格取得者等による専任技術者を必要とします。
大きな工事となることが多く、請負代金も大きくなる業種ですが、他の業種と同様に500万円(税込)以上の工事を請け負う場合は、許可が必要となります。