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相続手続き

隣の家と繋がっている「テラスハウス(長屋)」の遺産分割。共有名義にするのが危険な理由

隣の家と繋がっている「テラスハウス(長屋)」の遺産分割。共有名義にするのが危険な理由

処分が難しい「テラスハウス(長屋)」の相続

親が残した実家が、隣の家と壁や屋根を共有している「テラスハウス(連棟長屋)」だった場合、その相続手続きは一般的な一戸建てよりもはるかに厄介です。

総務省の「令和5年住宅・土地統計調査」によると、全国の住宅のうち長屋建は一定の割合を占めており、特に都市部の古くからの住宅街では、老朽化した長屋の空き家問題が深刻化しています。(参考データ出典:総務省統計局「令和5年住宅・土地統計調査」 https://www.stat.go.jp/data/jyutaku/

テラスハウス(長屋)は、自分の区画だけを勝手に解体することが難しく、不動産市場における売却価値も著しく低いため、「誰も住まないし、売れないし、解体もできない」という八方塞がりの状態になりがちです。本記事では、このような処分が難しい不動産を相続した際、遺産分割協議で「とりあえず兄弟の共有名義にしておこう」という選択をすることが、なぜ極めて危険なのか、将来のトラブルと回避策について行政書士が詳しく解説します。

危険!「とりあえず共有名義」が引き起こす将来の悲劇

遺産分割協議において、長屋の押し付け合いになった結果、「仕方ないから長男と次男で2分の1ずつの共有名義(共有分割)にしよう」と妥協してしまうケースがあります。 しかし、不動産の共有名義は「問題の先送り」にすぎず、将来のトラブルの火種を爆弾のように抱え込むことになります。

1. 売却や解体に「全員の同意」が必要になる

民法上、共有名義の不動産を売却したり、全体を解体(変更行為)したりするには、「共有者全員の同意」が絶対に必要です(民法第251条)。 もしも、将来、「安くてもいいから不動産業者に買い取ってもらおう」と長男が考えても、共有者である次男が「親の家だから売りたくない」と反対すれば、一生手放すことができなくなります。修繕や管理費用の負担を巡って、兄弟間で深刻なトラブルに発展することも少なくありません。

2. 相続が重なり「権利関係が身動き取れなくなる」

最大の恐怖は、共有者の1人が亡くなった時(二次相続)に訪れます。 例えば、2分の1の権利を持つ次男が亡くなると、その権利は次男の妻や子供たち(長男から見て甥や姪)に細分化されて引き継がれます。さらに年月が経ち、甥や姪も亡くなると、権利者は雪だるま式に増えていき、顔も見たことがない数十人の親戚と長屋を共有する異常事態に陥ります。 こうなると、売却のための全員の同意を取ることは物理的に不可能となり、長屋は「完全な塩漬け状態(負動産)」として後世代を苦しめ続けることになります。

トラブルを防ぐための解決策:後世代にツケを回さない「単独所有」へ

後世代で権利関係が身動き取れなくなる前に、最初の相続(親が亡くなった時)の遺産分割協議で、必ず誰か1人の「単独所有」にしておくことが鉄則です。

単独所有であれば、将来売却するのも、解体に向けて隣人と交渉するのも、すべてその1人の判断で迅速に行うことができます。しかし、「価値のない長屋を1人で押し付けられるのは不公平だ」と他の相続人が不満を持つ場合、以下の方法を活用します。

  • 代償分割(だいしょうぶんかつ)の活用:長屋を単独で引き継ぐ相続人(例:長男)が、他の相続人(例:次男)に対して、不公平感を埋めるための「代償金(現金)」を自分のポケットマネーから支払って精算する方法です。
  • 他の財産とのバランス調整:「長男が売れない長屋を引き受ける代わりに、現金や預貯金は多めに長男が相続する」といった形で、遺産全体のバランスを調整して合意を図ります。

長屋の複雑な遺産分割協議は、専門家へご相談を

テラスハウス(長屋)のような特殊で厄介な不動産の遺産分割は、当事者同士の話し合いだけでは平行線になりやすく、安易な共有名義へと逃げてしまいがちです。

当事務所では、老朽化した長屋や処分に困る不動産の相続において、将来のトラブルリスクを排除した「単独所有」を目指し、円満で公平な遺産分割協議書の作成を徹底的にサポートいたします。「共有名義の危険性」を客観的な第三者(専門家)の立場から他の相続人様へご説明することも可能です。後世代に負動産のツケを残さないためにも、遺産分割でお悩みの方は、ぜひお早めに行政書士へご相談ください。

FAQ(この記事によくある質問と回答)

Q. すでに数年前に長屋を兄弟3人の「共有名義」で相続登記してしまいました。今から1人の「単独名義」に変更することはできますか?

A. はい、可能です。共有者全員が合意すれば、「共有物分割」あるいは「持分の贈与・売買」という手続きによって1人の単独名義にまとめることができます。ただし、贈与税や不動産取得税などの税金が新たに発生する可能性があるため、事前に税理士や専門家と連携した慎重なシミュレーションが必要です。

Q. 長屋の屋根が雨漏りしています。共有名義の場合、修繕工事をするのにも全員の同意が必要ですか?

A. 雨漏りの修理のような、現状を維持するための「保存行為」であれば、各共有者が単独で行うことができます(民法第252条第5項)。しかし、大規模なリフォーム(改良行為)や解体(変更行為)となると、持分の過半数、あるいは全員の同意が必要になってきます。費用負担を巡って揉めることが多いため、やはり早期の単独名義化をおすすめします。

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