頼れる親族がいない方のための「死後事務委任契約」と「遺言」のセット活用

大阪市旭区にお住まいの皆様、こんにちは。行政書士の兼頭です。
「おひとり様」の終活において、多くの方が最初に思い浮かべるのが「遺言書」です。しかし、ここで一つ、非常に重要な質問をさせてください。
「遺言書を書けば、誰かが葬儀をしてくれて、お骨をお墓に入れてくれる」と思っていませんか?
実は、これは大きな誤解です。遺言書はあくまで「財産の分け方」を指定するものであり、「遺体の引き取り」や「部屋の片付け」といった「死後の手続き(事務)」を行う義務を、誰かに強制する力はありません。(祭祀承継の指定はできます)
頼れる親族が近くにいない方が、誰にも迷惑をかけず、ご自身の尊厳を守って旅立つためには、「遺言書」と「死後事務委任契約」のセット活用が不可欠です。
今回は、なぜこの2つがセットで必要なのか、データと実務の観点から詳しく解説します。
目次
- ○ 1. データで見る現実:急増する「引き取り手のない遺骨」
- ○ 2. 遺言書の限界と「死後事務委任契約」の役割
- ○ 3. 「死後事務委任契約」とは?
- ○ 4. なぜ「セット」が最強なのか?(車の両輪)
- ○ 5. 旭区の「おひとり様」がこの対策をするメリット
- ○ 6. まとめ|最後まで「自分らしく」あるために
- ・この記事に関連するFAQ
- ・【大阪市旭区の暁行政書士事務所】
1. データで見る現実:急増する「引き取り手のない遺骨」
「自分は大丈夫」と思っていても、社会情勢は大きく変化しています。
国立社会保障・人口問題研究所の推計によると、2050年には日本の全世帯の約44.3%が「単独世帯(一人暮らし)」になると予測されています。
これは、約2世帯に1世帯がおひとり様という計算です。
さらに深刻なのが、亡くなった後に遺体の引き取り手がいないケースです。
総務省の調査では、全国の自治体が保管する「引き取り手のない遺骨」は約6万柱にも上ると報告されています(平成30年時点)。
準備をしておかなければ、たとえ十分な貯蓄があったとしても、行政の手によって火葬され、無縁仏として合祀される可能性があります。
【参考データ】 国立社会保障・人口問題研究所『日本の世帯数の将来推計(全国推計)2024(令和6)年推計』
2. 遺言書の限界と「死後事務委任契約」の役割
なぜ、遺言書だけでは不十分なのでしょうか? それぞれの役割を整理すると、その理由が見えてきます。
遺言書ができること(=財産のこと)
・預貯金を誰に渡すか決める
・不動産を誰に譲るか決める
・寄付(遺贈)をする
遺言書では「間に合わない」こと(=体のこと・手続きのこと)
・病院や施設への駆けつけ
・遺体の引き取り、安置場所の手配
・葬儀、火葬の実行
・納骨、永代供養の手配
・賃貸住宅の解約、部屋の片付け(遺品整理)
・公共料金やSNSアカウントの解約
これらは、亡くなった直後から数日以内に動かなければなりません。
しかし、遺言書が開示される(検認や執行)のは、通常、四十九日が終わった後や数ヶ月後です。
つまり、葬儀や部屋の片付けの現場では、遺言書はタイムラグがありすぎて役に立たない場合があります。
そこで登場するのが、「死後事務委任契約」です。
3. 「死後事務委任契約」とは?
死後事務委任契約とは、元気なうちに第三者(行政書士などの専門家)に対し、「自分が死んだ後の諸手続き」を代理権を与えて依頼する契約です。
旭区の当事務所でもよく相談がある内容は以下の通りです。
1.通夜、告別式、火葬に関する手続き
2.納骨、永代供養に関する手続き(希望のお寺や霊園への埋葬)
3.医療費、施設利用料などの未払い分の精算
4.家財道具や生活用品の処分(賃貸物件の明け渡し)
5.行政機関への届出(死亡届の提出や保険証の返還)
この契約を結んでおけば、万が一の際、私たち専門家がすぐに病院へ駆けつけ、あなたが希望した葬儀や納骨を執り行うことが可能となります。
4. なぜ「セット」が最強なのか?(車の両輪)
「死後事務委任契約」だけを結べば良いのでは?と思われるかもしれません。
しかし、ここにも落とし穴があります。それは「費用」の問題です。
死後の手続き(葬儀代や片付け費用)にはお金がかかります。
しかし、契約を受けた専門家が、あなたの銀行口座から勝手にお金を引き出すことはできません(口座が凍結されるため)。
そこで、「遺言書」の出番です。
【死後事務委任契約】で「行動」を約束する。(葬儀や片付けを実行する権限)
【公正証書遺言】で「資金」を確保する。(費用を支払うために、預貯金の処分権限を執行者に与える)
この2つをセットにして、例えば「遺言執行者」と「死後事務受任者」を同じ行政書士に指定しておくことで、「私の預金を使って、私の希望通りの葬儀と片付けをしてね」という一連の流れが法的に完成します。
これが、頼れる親族がいない方にとっての「最強の備え」とご紹介した理由です。
5. 旭区の「おひとり様」がこの対策をするメリット
大阪市旭区には、古い長屋やアパートにお住まいの高齢者の方も多くいらっしゃいます。大家さんや近隣の方への配慮としても、この契約は非常に有効です。
・大家さんが安心する
「万が一の時は、この行政書士が部屋を片付けます」と伝えることで、高齢を理由に入居を断られるリスクが減少します。
・友人に迷惑をかけない
仲の良い友人に口頭で頼んでいても、法的な権限がないため、友人が役所で門前払いを受けたり、費用の立て替えで苦労することがあります。プロに任せればその心配はありません。
・自分の希望が叶う
「お墓はいらないから海洋散骨してほしい」「ペットと一緒に入れるお墓がいい」といった具体的な希望を実現できます。
6. まとめ|最後まで「自分らしく」あるために
「死後の手続き」は、誰かがやらなければなりません。
誰もやる人がいなければ、最終的には行政の負担となり、あなたの生きた証や思い出の品々は、事務的に処分されてしまいます。
「立つ鳥跡を濁さず」
この言葉の通り、きれいな最後をご自身でデザインしませんか?
「死後事務委任契約」と「遺言書」の作成は、ご自身の不安を消すだけでなく、周囲への最後の思いやりでもあります。
当事務所では、旭区・千林エリアを中心に、お見積もりから契約の実行までワンストップでサポートしています。
まずは無料相談にて、あなたの「理想の最期」をお聞かせください。
この記事に関連するFAQ
Q1. 費用はどれくらいかかりますか?いつ払うのですか?
A. 内容によりますが、預託金として事前にお預かりするのが一般的です。死後事務委任の報酬に加え、実際の葬儀代や片付け費用の実費(予納金)を信託口座などでお預かりします。目安としては、葬儀内容や家財の量によりますが、総額で100万円〜300万円程度(実費込み)を用意されるケースが多いです。※余ったお金は遺言に従い相続人や寄付先へ返還されます。
Q2. 契約した後に気が変わったら解約できますか?
A. はい、いつでも解約可能です。 ご事情が変わったり、信頼できるパートナーができたりした場合は、契約を解除できます。お預かりしていた予納金も全額返還いたしますのでご安心ください。※ただし、金融機関への信託口座の解約料など、実費のご負担がある場合があります。
Q3. 認知症になった後のことも心配です。
A. 「任意後見契約」も組み合わせることが可能です。死後事務は「亡くなった後」の契約ですが、認知症による判断能力低下に備える「任意後見契約」や、身体が不自由になった時の「見守り契約(財産管理契約)」を組み合わせることで、生前から死後まで切れ目のないサポートが可能になります。
【大阪市旭区の暁行政書士事務所】

代表への直通電話:090-9970-2321
※営業電話はご依頼者様のお声を聞く機会が減少しますので、お断りいたします。ご理解ください。
住所: 大阪市旭区中宮3-8-26(千林大宮駅 徒歩10分:(大宮商店街を直進、旭通商店街「食品館アプロ」様向かい・路面店舗1階))
対応エリア: 大阪市旭区、都島区、城東区、鶴見区、守口市など
★出張相談・オンライン相談も可能です