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「身寄りがない私」の老後と相続|国庫に財産を取られないための対策

「身寄りがない私」の老後と相続

大阪市旭区にお住まいの皆様、こんにちは。行政書士の兼頭です。

「生涯独身で、兄弟もいない」 「配偶者に先立たれ、子供もいない」

いわゆる「おひとり様」の生活を送る中で、ふとこんな不安を抱いたことはありませんか?

「私が死んだあと、残ったお金や家はどうなってしまうのだろう?」

実は、身寄りのない方の財産は、最終的に「国のもの(国庫帰属)」となります。 「国のためになるならいいか」と思われるかもしれませんが、そこに至るまでのプロセスでは、誰も管理できずに自宅が放置されて「空き家」になったり、お世話になった方に何も残せなかったりと、様々な問題が発生します。

今回は、近年急増している「相続人なき遺産」のデータを見ながら、あなたの財産を国に没収されず、あなたの希望通りに活かすための具体的な対策について解説します。

目次

1. データで見る現実:国庫に入る財産は過去最高額に

「身寄りがない」というのは、決して珍しいことではありません。
最高裁判所の司法統計などをもとにしたデータによると、亡くなった後に相続人がおらず、最終的に国庫(国)に入った財産の総額は、2022年度(令和4年度)で約768億円にのぼり、過去最高額を記録しました。10年前と比較すると約2倍に急増しています。
なぜこんなに増えているのか?
背景には、未婚率の上昇や核家族化があります。 大阪市旭区でも、高齢者の単身世帯は年々増加傾向にあります。
「自分には関係ない」と思っているうちに、気づけば法的な相続人が誰もいない(または全員亡くなっている)という状況になるケースは、今後ますます増えていくでしょう。

2. 何もしないとどうなる?「国庫帰属」までの冷たいプロセス

遺言書などの対策をせずに亡くなった場合、あなたの財産は自動的に国に行くわけではありません。
実は、非常に複雑で時間のかかるプロセスを経ることになります。
1.相続財産清算人の選任
利害関係者(大家さんや債権者など)が家庭裁判所に申し立て、財産を管理する「相続財産清算人(旧:管理人)」を選びます。
※この申立には数十万円〜100万円程度の予納金が必要なケースもあり、誰も申し立てず放置される(空き家化する)リスクがあります。
2.借金の返済・清算
清算人が、あなたの預貯金を使って未払いの医療費や税金などを支払います。
3.特別縁故者への分与(もし申し立てがあれば)
内縁の妻(夫)や、療養看護に努めた人がいれば、裁判所に認められた範囲で財産が分与されます。
4.国庫への帰属
それでも残った財産が、最終的に国のものとなります。

ポイント: この手続きには1年以上の時間がかかります。その間、あなたの財産は凍結され、お世話になった友人が葬儀費用を立て替えても、簡単には引き出せない状況が続きます。

3. 国に取られないための3つの対策

一生懸命働いて築いた財産です。ただ国に納めるのではなく、自分の意思で使い道を決めたいと思いませんか? 旭区の行政書士が推奨する、有効な対策は以下の3つです。

対策①:公正証書遺言で「遺贈(いぞう)」する

最も確実な方法は、「遺言書」を書くことです。
遺言書があれば、法定相続人がいなくても、指定した相手に財産を譲る(遺贈する)ことができます。
友人・知人に譲る:血縁関係がなくても、大切な友人に財産を託せます。
お世話になった団体へ寄付する:ユニセフや赤十字、あるいは地元の「大阪市旭区社会福祉協議会」など、応援したい活動に寄付(遺贈寄付)が可能です。

注意点:自筆(手書き)の遺言書は、発見されなかったり無効になったりするリスクがあります。公証役場で作成する「公正証書遺言」にしておけば安心です。

対策②:「死後事務委任契約」を結ぶ

遺言書は「財産」の行き先を決めるものですが、「遺体の引き取り」「葬儀」「納骨」「部屋の片付け(遺品整理)」まではカバーできません。
身寄りがない方にとって、これらは財産以上に対策が必要です。
信頼できる第三者(行政書士などの専門家)と「死後事務委任契約」を結び、預託金を預けておくことで、死後の手続きを全て任せることができます。これにより、家主さんや近隣の方に迷惑をかけることがなくなります。

対策③:元気なうちに自分のために使い切る

極論ですが、死後に残さないよう、生前に使い切るのも一つの立派な対策です。
有料老人ホームの入居一時金に充てたり、趣味や旅行に使ったり。ご自身の人生を豊かにするために資産を使う計画を立てるのも、「終活」の重要な視点です。

4. よくある誤解:「特別縁故者」制度に期待してはいけない

「遺言書がなくても、いつも面倒を見てくれる姪(相続権なし)や、内縁のパートナーが『特別縁故者』として貰えるから大丈夫」
そう思っていませんか?これは非常に危険です。
特別縁故者の制度は、確実ではありません。
あくまで「相続人が誰もいない」ことが確定した後の手続きです。
家庭裁判所の判断次第なので、全財産が認められるとは限りません。
手続きには多大な労力と時間がかかります。
愛する人や恩人に確実に財産を残したいなら、遺言書を作成しておきましょう。

5. まとめ|旭区で「自分らしい最期」を迎えるために

「身寄りがない」ということは、裏を返せば「しがらみがなく、自分の好きなように財産の使い道を決められる」ということです。
国庫に帰属させるのが悪いわけではありません。
しかし、何も準備をしないことで、空き家問題を引き起こしたり、本来感謝を伝えたい人に伝えられなかったりするのは、あまりにも寂しいことです。
あなたの財産を、あなたの想いのある場所へ。

当事務所では、大阪市旭区・千林・大宮エリアを中心に、おひとり様の遺言書作成や死後事務委任のサポートを行っています。
「まずは何から始めればいい?」という段階でも構いません。
無料相談にて、あなたの不安を整理するお手伝いをさせてください。

この記事に関連するFAQ

Q1. 財産といっても自宅(古い家)しかありません。それでも遺言は必要ですか?


A. はい、不動産のみの場合こそ必要です。現金がないと、死後の片付け費用などが捻出できず、自宅が「放置空き家」になる可能性が高くなります。遺言書の中で「自宅を売却し、その代金で整理費用を支払う」といった指示(清算型遺贈)をしておくことをお勧めします。

Q2. 遺言書で指定した友人が、受け取りを拒否したらどうなりますか?


A. 受け取りは放棄できます。遺言で指定されても、受取人(受遺者)はそれを放棄することができます。その場合は、予備的に別の受取人を指定しておくか、最終的に国庫へ帰属することになります。事前にご友人とお話し合いをしておくことが大切です。

Q3. 行政書士に相談すると、何をしてくれますか?


A. 戸籍調査から遺言作成サポート、死後の手続きまで伴走します。まずは「推定相続人が本当にいないか」の戸籍調査を行い、公正証書遺言の文案作成、公証役場の手配、そしてご逝去後の遺言執行(手続き代行)までトータルでサポートいたします。

【大阪市旭区の暁行政書士事務所】

【大阪市旭区の暁行政書士事務所】

電話:06-7164-2629
代表への直通電話:090-9970-2321
※営業電話はご依頼者様のお声を聞く機会が減少しますので、お断りいたします。ご理解ください。
住所: 大阪市旭区中宮3-8-26(千林大宮駅 徒歩10分:(大宮商店街を直進、旭通商店街「食品館アプロ」様向かい・路面店舗1階))
対応エリア: 大阪市旭区、都島区、城東区、鶴見区、守口市など

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