実家の相続「売る・貸す・住む」どれが正解?行政書士×宅建士が教える徹底診断

「親が亡くなり、実家を相続することになった。」
今、この記事を読んでいるあなたは、悲しみの中で、同時に重たい課題を背負い、途方に暮れているかもしれません。
「思い出の詰まった家を売るのは気が引ける…」
「かといって、貸すのも管理が大変そう…」
「自分で住むには、職場から遠すぎる…」
結論が出ないまま、なんとなく実家を放置していませんか?
実は、その「決断の先送り」こそが、最も危険な選択です。
本記事では、「行政書士(権利のプロ)」と「宅建士(不動産のプロ)」という2つの国家資格を持つ専門家が、あなたの実家にとっての「正解」を導き出すための「不動産活用診断」を行います。感情論だけでなく、最新の法律と経済的な合理性に基づいた「最強の戦略」を、詳しく解説します。
大相続時代。「実家の行方」に悩むあなたへ
日本を覆う「多死社会」と空き家問題
現在、日本は年間死亡者数が150万人を超える「多死社会(たししゃかい)」に突入しています。これに伴い、親世代から子世代へ、膨大な数の不動産が受け継がれる「大相続時代」が到来しました。
しかし、問題があります。受け皿となる私たち子世代は、すでに都会にマイホームを持ち、生活基盤を固めていることが多いのです。
「実家をもらっても、使い道がない…」
この悩みは、あなただけのものではなく、日本中で起きている社会現象です。
【データで見る深刻な実態】
空き家率は過去最高を更新中:総務省統計局の「住宅・土地統計調査」によれば、日本の空き家率は右肩上がりです 。
出典:「令和5年住宅・土地統計調査結果」(総務省統計局)https://www.stat.go.jp/data/jyutaku/2023/pdf/g_kekka.pdf
空き家の57.9%は「相続」が原因:令和6年(2024年)の国土交通省の調査により、空き家の取得経緯等の57.9%が相続に由来することが判明しました 。
出典:「令和6年空き家所有者実態調査(別紙)」(国土交通省)https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/content/001907473.pdf
実家には、家族の歴史や親の生きた証が刻まれています。「経済合理性」だけでは割り切れない「感情」があることで、私たちは立ち尽くしてしまいます。
しかし、判断を保留にして放置すれば、建物は傷み、資産価値は下がり、固定資産税という「負債」だけがのしかかってきます。
なぜ「行政書士」×「宅建士」のダブルライセンスが必要なのか?
相続不動産の解決を難しくしているのは、専門家の「縦割り構造」です 。
- 法律の専門家(行政書士・司法書士など):権利の手続きは完璧ですが、不動産の「売りやすさ」や「市場価値」には疎いことがあります。
- 不動産のプロ(宅建士・不動産業者):売ることは得意ですが、複雑な相続関係や法的なリスク管理が後回しになりがちです。
この分断が、「売れない土地を高値で相続してしまう」「遺産分割協議が不十分なまま売却を進めてトラブルになる」といった悲劇を生んでいます。
だからこそ、本記事では「権利(行政書士)」と「経済(宅建士)」の両方の視点を持つ統合的な診断(ワンストップ・ダイアグノシス)を提案します。
2024年の登記義務化や、2027年までの空き家特例といった最新ルールを駆使し、あなたの実家の「最適解」を探っていきましょう。
【診断ステップ1】まずは法的基盤を固める(行政書士の視点)
不動産活用を考える前に、絶対に避けて通れないのが「権利の確定」です。ここをおろそかにするのは、砂の上に高層ビルを建てるようなものです。
相続人調査:隠れたリスクを洗い出す
まずやるべきは、亡くなった方(被相続人)の生まれてから死ぬまでの戸籍をすべて集め、「誰が相続人なのか」を確定させることです。
【現代家族は複雑です】
離婚歴がある場合、前妻(前夫)との間のお子さんも相続人になります。「会ったこともない腹違いの兄弟」が突然相続人として現れるケースは珍しくありません。
また、代襲相続(孫への相続)や数次相続(相続中に次の相続が発生)が重なると、関係者は数十人に及ぶこともあります。
私たち行政書士は、職権で戸籍を調査し、複雑な関係図を解きほぐします。もしも、一人でも調査漏れがあれば、遺産分割協議は無効。不動産を売ることも貸すこともできなくなります。
★プロのアドバイス:法定相続情報一覧図を活用しよう
相続人が決まったら、法務局で「法定相続情報一覧図」を取得しましょう。これ一枚あれば、分厚い戸籍の束を持ち歩かなくても、銀行や不動産の手続きが可能です。一気にスムーズになります。
財産調査:「負動産」になっていないか?
実家の調査は、固定資産税の通知書を見るだけでは不十分です。以下の書類で「隠れたリスク」をチェックします。
| 調査書類・項目 | チェックポイント(診断の視点) |
| 登記事項証明書 | 昔の住宅ローンの抵当権が消されずに残っていませんか? |
| 公図・測量図 | 実際の土地の広さが、登記簿とズレていませんか? |
| 名寄帳 | 超重要! 課税されない「私道(道路)の持分」の相続漏れはありませんか? |
特に「私道持分」の相続漏れは致命的です。道路の権利を取りこぼすと、将来家を建て替えるときや売るときに「通行の許可」が得られず、事実上の「死に地」になってしまうリスクがあります。
【重要】2024年4月からの「相続登記義務化」
これは実務における大きな変化です。
2024年4月1日から、相続登記が義務化されました。
- ルール:不動産を取得したことを知った日から3年以内に登記申請が必要。
- 罰則:正当な理由なく怠ると10万円以下の過料。
- 注意点:過去の相続にも遡及(そきゅう)します! 「名義がおじいちゃんのまま」という土地も、2027年3月末までに対応が必要です。
すぐに遺産分割がまとまらない場合は、「相続人申告登記」という仮の手続きで罰則を回避する方法もありますが、あくまで一時しのぎです。
選択肢①「売る」徹底分析~手取りを最大化する戦略~
「売る」ことは、資産を現金化し、管理責任から解放される最もクリアな解決策です。しかし、ただ不動産屋に頼むだけでは損をします。「宅建士」としての戦略をお伝えします。
税金が600万円変わる?「3000万円特別控除」の攻略法
相続した空き家を売る際、最強の節税ツールとなるのが「空き家の3000万円特別控除」です 。売却益から最大3000万円を引けるため、税率約20%として最大約600万円の税金をゼロにできる可能性があります。
【適用要件チェックリスト】
- ☑対象:昭和56年(1981年)5月31日以前の「旧耐震基準」の家屋。
- ☑居住:亡くなる直前まで親御さんが一人暮らしだった(老人ホーム入所などの特例あり)。
- ☑利用:相続後、貸したり住んだりしていないこと。
- ☑期限:令和9年(2027年)12月31日まで。
★朗報:2024年の改正で使いやすくなりました!
これまでは「売主が解体してから引き渡す」ことが条件でしたが、2024年1月以降は「売った後、翌年2月15日までに買主が解体や耐震改修をした場合」も対象になりました。
つまり、「古家のまま現況有姿で売り、解体は買主にお任せする」という方法でも節税が可能になったのです。初期費用のリスクがなくなり、非常に使いやすくなりました。
「仲介」か「買取」か?マーケット分析
- 仲介(一般の人に売る)
- 特徴:相場で高く売れるが、いつ売れるか不明。契約不適合責任(瑕疵担保責任)のリスクがある。
- 診断:大阪市旭区のような都市部の住宅地や、状態の良い物件向き。
- 買取(不動産業者に売る)
- 特徴:価格は相場の7〜8割になるが、即現金化でき、売却後の責任も免除される。
- 診断:築古でボロボロの家、再建築不可物件、急いで現金化したい場合向き。
【都市部のトレンド】
大阪市旭区などの都市部では、新築価格の高騰により「中古を買ってフルリノベーションしたい」という層が増えています。古家付きでも「リノベ素材」としての魅力をアピールできれば、解体更地渡しよりも有利に売れるチャンスがあります。
選択肢②「貸す」徹底分析~収益化とリスク管理~
「実家を手放したくない」という想いと「家賃収入が欲しい」という経済的ニーズを両立させるのが賃貸です。
「戸建て賃貸」はブルーオーシャン
日本の賃貸市場で、アパートは余っていますが、良質な「戸建て賃貸」は圧倒的に不足しています。
騒音を気にする子育て世代や、ペット愛好家に強い需要があり、大阪市旭区エリアなら月10〜15万円以上の家賃も見込めます。
リフォーム投資の罠
「貸すためのリフォーム」と「自分が住むリフォーム」は全く別物です。
自分が住むなら高級キッチンを入れたくなりますが、賃貸経営では「清潔感」が最優先。水回りやクロス交換程度の「表層リフォーム(目安800万〜1500万未満)」に留めるのが鉄則です。
間取り変更などのフルリノベ(1800万〜)をすると、家賃で回収するのに20年以上かかり、事業として失敗します。
最大のリスク「借地借家法」の壁
日本の法律では、一度貸すと「借主の権利」が非常に強く守られます。
「自分が住むことになったから出て行って」と言っても、正当事由がなければ認められず、数百万円の立ち退き料を請求されることもあります。
★プロの診断:将来売る可能性があるなら「定期借家契約」一択!
「期間満了で確実に契約が終了する」定期借家契約を選びましょう。家賃は少し下がりますが、将来の資産処分の自由度を守るための保険料と考えれば安いものです。
選択肢③「住む」徹底分析~継承と再生~
最も感情的な満足度が高い選択ですが、昭和の家で令和の暮らしをするにはハードルがあります。
性能向上リノベーションの現実
「実家に帰る」なら、見た目の綺麗さ以上に「命を守る性能」が必要です。
- 耐震性:1981年以前の家は、大地震で倒壊するリスクがあります。
- 断熱性:昔の家は寒く、ヒートショックのリスクが高いです。
これらを解消するフルリノベーションには1800万〜2800万円ほどかかりますが、新築の2/3程度の費用で新築同様の性能が手に入ります。
「子育てエコホーム支援事業」などの補助金や、住宅ローン控除、固定資産税の減額制度をフル活用しましょう。
「小規模宅地等の特例」で相続税激減?
相続人が同居する(または条件を満たして住む)場合、土地の評価額を80%も減額できる特例があります。
土地の評価が5000万円でも、税金の計算上は1000万円になるため、相続税が劇的に安くなります。「誰が住むか」を早く決めることが、数百万円単位の節税に直結するのです。
出典:「No.4124 相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)」(国税庁)https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4124.htm
実家じまいと遺品整理の「心の壁」
どの選択肢をとるにしても、最大の難関は「中の荷物をどうするか」です。
数十年分の家財、開かずの押入れ…。業者に頼めば20万〜60万円程度で済みますが、自分でやろうとすると半年以上かかることもザラです。
「親の思い出を捨てるなんて…」という罪悪感がブレーキになりますが、以下のメソッドを試してみてください。
- デジタルアーカイブ:写真や動画に残して、物理的なモノは手放す。
- 供養:人形や仏壇はお焚き上げ供養に出し、「ゴミ」ではなく「感謝して送り出す」儀式にする。
- 一時保管:迷うものは箱に入れ、1年開けなかったら捨てるルールにする。
【診断マトリクス】あなたの実家の「正解」はこれだ!
法務・税務・不動産市況を総合した、プロの診断結果がこちらです。
ケースA:【資産価値が高い】都市部・駅近 × 築古(旧耐震)
- 診断:「売却(更地渡し)」 または 「土地活用(建替え)」
- 戦略:土地の価値が高いので、解体費用をかけても高く売れます。「3000万円控除」を使って非課税で現金化し、争族を防ぐために分けやすい資産に変えるのが王道です。
- NG行動:中途半端なリフォームをして貸すこと。価値が高いので、現金化した方が相続税対策になります。
ケースB:【資産価値は中程度】郊外住宅地 × 築浅(状態良し)
- 診断:「賃貸(戸建て貸し)」 または 「自己居住」
- 戦略:建物価値が残っているので、壊すのは損失です。簡単なリフォームで「ペット可」などにして貸しましょう。必ず定期借家契約にすること。
- NG行動:安易な売却。新築高騰の今、郊外の中古物件は見直されています。インフレ対策として持っておくのも賢い選択です。
ケースC:【資産価値が低い】地方・過疎地 × 築古
- 診断:「早期売却(価格不問)」 または 「贈与・寄付」
- 戦略:貸す需要も住む予定もないなら、完全な「負動産」です。空き家バンク等を使い、10万円でもいいから手放しましょう。隣地の人にタダで譲るのも手です。
- 最終手段:「相続土地国庫帰属制度」や相続放棄を検討しますが、ハードルは高いです。
- NG行動:「いつか値上がるかも」という先送り。特定空き家に指定されれば、固定資産税が6倍になるペナルティが待っています。
結論:未来へ資産をつなぐために
「売る」「貸す」「住む」。万人に共通する絶対の正解はありません。
しかし、確実に言える「不正解」はあります。 それは、「思考停止して、空き家のまま放置すること」です。
放置された実家は、家族の思い出を風化させ、地域のお荷物になってしまいます。
相続不動産の問題は、行政書士、宅建士、税理士、司法書士…と多くの専門分野が絡み合っています。これらを個別に頼むと大変ですが、「行政書士+宅建士」の資格を持つ専門家なら、ワンストップで全体の交通整理が可能です。
どうか、実家を「過去の遺物」にしないでください。「未来への資産」として正しく継承することこそが、親御さんへの最大の供養です。
まずは、あなたの実家がどのタイプなのか、不動産活用診断を受けてみませんか?
免責事項:本記事は2026年1月時点の法令・市場動向に基づいています。個別の税務・法務判断は必ず専門家にご相談ください。
この記事によくある質問(FAQ)
Q1. 実家を相続しましたが、何から手を付ければ良いかわかりません。まずは何をすべきですか?
A. まずは「権利関係の確定(相続人の調査)」を行ってください。不動産を売るにせよ、貸すにせよ、前提として相続人全員を特定し、遺産分割協議を行う必要があります。戸籍謄本等を取得し、法務局で「法定相続情報一覧図」を作成しておくと、その後の銀行手続きや不動産登記がスムーズに進みます。 当事務所では行政書士として、この最初の調査からサポート可能です。
Q2. 「空き家の3000万円特別控除」を使いたいのですが、古い家は解体しないとダメですか?
A. 令和6年(2024年)以降の譲渡であれば、必ずしも売主様が解体する必要はありません。以前は引き渡しまでの解体(または耐震改修)が必須でしたが、改正により「売却後に買主が解体(または耐震改修)する場合」も適用の対象となりました。これにより、解体費用の先行出費リスクを負わずに、現況のまま売却できる可能性が広がっています。ただし、昭和56年5月31日以前の旧耐震基準であることなど、他にも要件がありますのでご相談ください。
Q3. 相続登記が義務化されたと聞きましたが、過去に相続した土地も対象ですか?
A. はい、過去の相続分も遡って義務化の対象となります。令和6年(2024年)4月1日から義務化され、相続を知ってから3年以内に登記申請を行わない場合、10万円以下の過料が科される可能性があります。長期間放置されている名義変更も、猶予期間(2027年3月末まで)内に対応する必要がありますので、お早めにご確認ください。
Q4. 「とりあえず賃貸に出せば家賃収入が入る」と考えていますが、リスクはありますか?
A. 最大のリスクは「過剰なリフォーム費用」と「立ち退き問題」です。自分が住むような高額なリフォームをすると投資回収に時間がかかりすぎ、赤字になるケースがあります。また、一度普通借家契約で貸すと、正当な理由なく解約することが難しくなります。将来的に売却の可能性がある場合は、期間満了で確実に契約が終了する「定期借家契約」を推奨します。
Q5. 行政書士と不動産会社、どちらに相談すべきかわかりません。
A. 権利関係の整理(遺産分割協議書作成など)は行政書士、不動産の売却や活用は宅建士(不動産会社)の領域ですが、当事務所は両方の資格・視点を持っているため、ワンストップで対応可能です。「法的に問題ない遺産分割」と「経済的に損をしない不動産取引」の両面から、全体最適となる診断を行えるのが強みです。窓口を一本化することで、情報の食い違いを防ぎ、スムーズな解決へと導きます。
Q6. 実家の中に家財道具がたくさん残っていますが、そのままでも売れますか?
A. 原則として、引き渡しまでに室内を空にする(遺品整理を行う)必要があります。残置物が残っていると、売却やリフォームの妨げになります。業者に依頼する場合、戸建てで20万〜60万円程度の費用が相場です。不動産会社による「買取」の場合は、残置物をそのまま引き取る条件で契約できるケースもありますので、状況に合わせてご提案します。
旭区の「暁行政書士事務所」がお手伝いできること

当事務所では、相続した不動産の活用(空き家含む)についてサポートを行っております。
まずは一度、無料相談にて現状をお聞かせください。
電話:06-7164-2629
代表直通電話:090-9970-2321
※営業電話はご依頼者様のお声を聞く機会が減少しますので、お断りいたします。ご理解ください。
住所: 大阪市旭区中宮3-8-26(千林大宮駅 徒歩10分:(大宮商店街を直進、旭通商店街「食品館アプロ」様向かい・路面店舗1階))
対応エリア: 大阪市旭区、都島区、城東区、鶴見区、守口市など
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